お知らせ

2017.08.22

野沢菜物語 「土壌づくりは堆肥づくりから」

3月15日。
会社のある南信州・松川町は桜のつぼみが膨らみ始めていました。

この日、私たちは、標高約1000mにある
八ヶ岳山麓・小海町の契約農家「新津さん」を訪ねました。

 

 

 

 

 

雪の残る圃場の一角で、新津さんはショベルカーを使って
堆肥作りの真っ最中でした。しばらく、新津さんの姿を見守っていました。

 

 

 

 

 

 

「こんにちわ!堆肥づくりですか?」

「この堆肥づくりが大事でねぇ」

農作物は「土づくりが命」とはよく聞くものの、
野沢菜の圃場に使われる堆肥を作っているところを見るのは初めてでした。

これは是非とも話を聞かなくてはと思い
「堆肥作り、勉強させてください」
と懇願しました。

「あんまり詳しいことは教えられねぇが…」と

新津さんが使用している堆肥は、
「きのこの菌床」「そば殻」などの材料に、「酵素」などを加えて
混ぜ合わせて作っているとのことです。

など」が大事みたいです。

「きのこの菌床、そば殻、酵素の他には何を使っているんですか?」

「全部は教えられねぇよ。怪しいものは使ってねぇ。
おらぁ(俺)はさ、土壌にもどる堆肥を作ってるから。」

この言葉のせいなのか、ヤッケ姿でショベルカーを操る姿には
自信に満ちた貫禄がありました…。

ショベルカーを使って、堆肥のもととなる材料の混ぜ合わせ作業は
何回か繰り返すそうです。

混ぜ合わせの作業を終えた新津さんが
不思議な現象を見せてやるから、と私たちを手招きしました。

すでに混ぜ合わせの作業を終えて、寝かしてある堆肥の山を指さして、

「そーっと掘り起こしてみぃ」

素手でゆっくりと堆肥の山の中に手を入れると……
「あれ?暖かいな」と思った瞬間、堆肥の中から「湯気」が。

 

 

 

 

 

「発酵熱」というらしいです。
この「湯気」は混ぜた材料がしっかりと発酵している証拠。

この発酵熱はしばらくすると少しずつ弱くなっていくそうです。

発酵熱の冷めた堆肥は、しばらく八ヶ岳から吹き下ろす寒風と
春の柔らかな日光にあてた後、圃場へ運ばれるとのこと。

春先の目立たない地味な作業。
野沢菜が根付く「地面」の一番大事な土作り。
貴重な時間でした。

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